
本日は、民泊運営に関わるすべての事業者様にとって、
法的に極めて重要な事実をお伝えします。
■ 1月27日、民泊運営会社のCEOらが書類送検
1月27日、無届けで民泊営業を行っていた事業者について、
住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)違反の疑いで、CEOらが警視庁により書類送検されました。
本件は、
是正勧告や行政指導といった行政手続にとどまらず、
刑事事件として、警察から検察に送致された事案です。
書類送検とは、
行政上の注意や指導ではなく、
犯罪の疑いがある事件として刑事手続が進められることを意味します。
本件は、無届け民泊が「問題行為である」という抽象論ではなく、
実際に刑事事件として処理された実例です。
■ 無届け民泊が刑事手続の対象となった実例
住宅宿泊事業法において、
無届けでの民泊営業は、制度開始当初から明確に違法とされています。
今回の書類送検は、
その違法性が行政対応ではなく、刑事責任として具体的に扱われた事例です。
無届け民泊について、
・行政指導で終わるのか
・刑事手続に進むのか
という点について、
実務上の判断材料となる事実が示されたといえます。
■ 【補足】今回の件が「刑事事件」と位置づけられる理由
ここで、「刑事事件」という言葉について補足します。
刑事事件とは、
警察や検察といった捜査機関が介入し、
懲役や罰金などの刑罰を科すべきかどうかを判断する対象となる事件を指します。
今回の件が、単なる行政上の問題ではなく
刑事事件として扱われているといえる理由は、以下のとおりです。
【1】「書類送検」自体が刑事手続の一部であること
「書類送検」とは、
警察が捜査を行い、犯罪の疑いがあると判断した段階で、
証拠資料と被疑者情報を検察庁に送付する刑事手続です。
これは刑事訴訟法に基づく正式な手続であり、
その後、検察官が
・起訴(裁判にかける)
・不起訴(裁判にかけない)
の判断を行います。
仮に起訴され、有罪判決が確定した場合には、
刑事罰が科され、前科が付く可能性があります。
【2】住宅宿泊事業法に「刑事罰」が明記されていること
住宅宿泊事業法では、
無届け営業等について、刑事罰が明確に規定されています。
同法第72条では、以下の罰則が定められています。
6か月以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金、またはその両方
警察が捜査を行い書類送検に至ったという事実は、
これらの刑事罰の適用を前提とした手続に入ったことを意味します。
【3】今回の事案が刑事手続に進んだ背景について
一般に、無届け民泊は、
保健所等による行政指導で対応されるケースもあります。
一方で、今回の事案では、
警察が介入し、刑事手続に進んでいます。
報道内容等からは、
・過去に届出を行っていたが、その後廃止したにもかかわらず営業を継続していた
・自治体からの指導を受けた後も、運営を継続していた
といった事情が背景にあった可能性が示唆されています。
本件は、
無届け民泊が刑事手続の対象となり得ることを、実例として示した事案
と位置づけることができます。
■ 2026年度、観光庁によるデータ照合運用の本格化
制度面では、
観光庁が2026年度(令和8年度)より、
以下の運用を本格化させる方針を示しています。
・仲介サイト(OTA)掲載情報と、自治体の登録・許可情報のシステム照合
・住宅宿泊事業法、特区民泊、旅館業法(簡易宿所等)を横断した把握
・登録情報と一致しない無届け物件の特定
これは新たな規制の創設ではなく、
既存の法令を前提とした運用を、実務上確実に行うための体制整備です。
■ 事業者が確認しておくべき事項
関係者におかれましては、
現在の運営状況が、以下の要件と整合しているかを
事実ベースで確認しておくことが重要です。
・住宅宿泊事業法に基づく届出の有無・内容
・特区民泊、旅館業法(簡易宿所等)の許可状況
・届出・許可内容と、実際の運営実態(宿泊日数、管理体制等)の一致
本件は、
無届け民泊が刑事事件として処理され得ることを、
実例として示した事案です。
今後も、
制度解説や一般論ではなく、
実際に確認された事実と運用状況にもとづく情報を共有していきます。